広島解体店長が仮換地とは何かご説明いたします

2019.08.25

広島解体工事業者ハウスドクターの三島です。

仮換地とは、土地区画整理事業の工事中に従前の宅地の代わりに使用できるように指定された土地です。

土地区画整備事業によって整備後に換地処分が行われる前に、地権者(土地所有者)に対して仮に割り当てられる換地で、工事の都合などで指定されることがあります。

仮換地が指定されると、従前の土地については土地区画整理事業の施行者が管理することになります。

代わって、仮換地については、従前の土地にもっていたものと同じ権利(所有権や借地権)を有することができます。

仮換地を使用できるのは、仮換地指定の効力が発生した時から最終的な換地処分の公告がされる時までです。

仮換地は建物を建てることもでき、土地取引も可能です。

ただし、土地の売買は従前地に基づいて行われ、登記をする場合には従前地の面積で行われます。

換地処分後には、従前地より換地の面積が少ない(減歩)のが一般的で、登記をやり直す必要があります。

また、換地処分により清算金(土地の評価に不均衡が生じる場合に金銭で清算)が発生することがあり、売買契約において売主と買主のどちらが負担するかなど、条文を確認しておく必要があります。

換地処分が行われると、従前の土地に関する権利は新しい換地に移ることになります。

●仮換地の登記について

・仮換地に建てた建物の登記

仮換地に建てた建物の登記は問題なく行うことができます。その際は、仮換地と仮換地が行われる前の底地と2つの地番を併記して登記を行います。

・仮換地の地目変更登記

仮換地の地目変更登記は原則できません。

実際に地目変更を行うのは従前地に対してであるためです。

仮換地を住宅を建てるための宅地にしたいと考えたとしたら、地目変更は従前地に対して行われます。

多くの場合で区画整理が行われると従前地の一部は道路として利用されますので、宅地として利用するのは不可能になります。

このような事情で仮換地の地目変更登記は原則不可能となっています。

・仮換地の所有者移転登記

仮換地の所有者移転登記は可能です。

仮換地には所有権が存在しないため、従前地の所有権移転登記を行うことになります。

従前地の所有権を得ることによって、仮換地の使用収益権と換地を受け取ることができます。

●仮換地と税金

区画整理が行われると土地の評価額が上昇するため、支払う税金は増える傾向にあります。

・固定資産税

仮換地への固定資産税はみなし課税、またはみなす課税と呼ばれる制度が適用されることが多くなっています。

従前地の所有者として登記されている人を仮換地の所有者とみなすことからこう呼ばれています。

固定資産税は国ではなく各地方自治体に納めるため、具体的な金額や疑問点は各地方自治体に確認しましょう。

区画整理後の換地については固定資産税は増額される場合が多く、固定資産税は土地の評価額に一定の倍率を掛け合わせて算出されるため土地の価格が高ければ高いほど納税額が大きくなります。

市街化調整区域になっている住宅向けでない場所が区画整理によって住宅地へと整備される場合は、土地の価値が上がることが予測され、都市計画税などの税金が新たに加算されることもあります。

・相続税

区画整理前は農地だったが整理後は住宅地になる場合もありますが、土地を相続する場合の相続税はその仮換地が使用収益が開始されているかどうかです。

建物などが建てられ使用されている場合は仮換地で評価され、仮換地指定がされていない場合や工事中で使用できない場合には従前地である農地として評価します。

工事中で従前地の原型もとどめておらず仮換地として評価せざるを得ない場合もあり、その場合の判断は税務署長に委ねられるため個別評価に関する申請をして判断してもらいましょう。

●土地区画整理事業中の土地の売却

土地区画整理事業の予定地となった土地を所有している人は、そのまま土地を所有して換地と交換するか売却するかの決断が必要です。

・土地区画整理事業期間中に売却するケース

土地区画整理事業が開始されると、仮換地が指定されます。

従前の土地所有者は仮換地の使用収益権を得る代わりに従前の土地に関する使用収益権がなくなりますが、従前の土地を売却することは可能です。

土地区画整理事業が完了したあとで換地の価値が上昇すると考えたり、換地が使用収益に適していると判断したりする土地購入予定者がいる場合は、売却先を見つけることは可能です。

従前の土地所有者は土地活用の形態や目的によっては、換地が従前に比べて使いにくくなること場合は売却を選択するでしょう。

売却においてまず注意すべきことは、売買契約によって取得者が手にする権利について誤解がないようにしたうえで契約をすることです。

土地区画整理事業が完了するまでは土地購入者は仮換地の使用収益権を取得し、完了後は換地の所有権を手に入れることになるため、仮換地や換地の位置や敷地面積などを明確にしたうえで契約することが必要です。

整理事業が完了するまで正確な位置や面積が確定しないこともあり、その場合は契約後に確定する敷地面積などが、契約時に想定した面積などと相違する分について事後清算するかどうかまで契約時に明確にしておくことが大切です。

売却価格においては清算金の存在を考慮する必要があります。

従前の土地面積よりも換地の面積が小さくなる場合は清算金を受け取りますので、その分も考慮して売却価格を決めましょう。

従前の土地の売買に関して制限がかかるケースもあり、土地区画整理事業の特約で工事期間中の売買を禁止していることがあります。

工事期間中の権利移転は工事完了後の移転登記時に混乱する可能性があり、それを避けるなどの理由でそういった特約が付されている場合があります。

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